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人工透析の医療事故について

人工透析で見られやすい事故とはどのようなものがあるのかまとめるとともに、医療事故に遭わないために必要なことについてまとめました。人工透析の情報を集めている方はぜひ参考にしてください。

人工透析における医療事故とは?

人工透析は患者さんの血液を抜き取って浄化する治療ですので、ささいなミスが重大な事故につながります。

ここでは、人工透析で実際に起こった事故を取り上げ、事故に遭わないためにはどうすればよいか解説します。

※出典:日本透析医会/日本透析医会雑誌[PDF]

最多は抜針事故

平成25年度の日本透析医会透析医療事故調査報告によると、抜針事故は38.7%と人工透析における事故の中で最も多く見られました。平成14年の前回調査時よりも8.7%増加が見られます。

血液透析は、血管に針を穿刺し、チューブにつなぐことによって行われます。その血液をダイアライザーでキレイに浄化して、もう1箇所穿刺している血管から体内に戻します。

抜針が起こると急激に失血し、出血性ショックと呼ばれる状態を引き起こすリスクがあります。患者様の容態に関わることですので、出血を発見後、的確かつ迅速に対応しなければなりません。

転倒・転落事故

抜針事故についで多かったのは転倒・転落事故です。転落事故においては、平成25年は49 件(重篤な事故事例の 11.3%)であり、平成14年に行われた調査結果の6.3%から倍増していることが特徴的です。ほとんどのケースが骨折により入院あるいは、入院が延長になっています。

腎機能が低下すると、骨粗鬆症のリスクが増し骨折の危険性が高まるため、十分注意しなければなりません。

回路離脱

透析回路と穿刺した針の接続が緩んでしまうことにより外れてしまう回路の離脱も起こりうるため注意が必要です。回路の離脱も、抜針同様、急速な失血に繋がります。このような事態を招かないために、接続部のダブルチェックを行うことが重要です。

除水設定ミス

透析治療で除水を実施する際には、除水速度を決める必要があります。除水速度が速くし過ぎてしまうと、血圧低下が起きたり心臓に大きな負担がかかりやすくなったりするため慎重に決めなければなりません。

空気混入

血液回路からの気泡や空気が混入すると、大きな医療事故に発展する可能性があるため注意が必要です。原因としては、人為的なものと機械的なミスが考えられます。人為的ミスとして例を挙げると、気泡検知器への接続忘れがあり、このケースでは患者様が自己抜針しても回路がクランプされず、血管内に空気が入り込み、肺塞栓や心不全が引き起こされる危険性があるのです。

医療事故に遭わないために…

人工透析では、抜針事故や転倒・転落、回路離脱などの事故が起こる可能性があります。抜針や転倒・転落などの事故は、透析を受ける方の高齢化に伴っていることが考えられます。

人工透析でこのような事故に遭わないための対策として、人工透析専門の実績豊富な医療施設で受けること、そして施設で医師の指示に従うことが重要だと言えます。