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日本国内で人工透析治療を受けている患者の総数は、約32万448人(2014年)に達しています。
この数字は2013年に比較すると約6,000人増加しており、現在ではさらに増加していると考えられます。
参照元:日本生活習慣病予防協会/CKD(慢性腎臓病)の調査・統計
人工透析とは、人の体にある2つの腎臓いずれもが、機能を失ってしまった患者が受ける治療です。
健康な体を維持するために腎臓にあるネフロンという組織が、血液から老廃物を濾し取り、老廃物や余分な水分や塩分を尿として排出します。同時にきれいになった血液が体内に戻します。
しかし腎不全になると老廃物を濾し取って体外に排出する機能が弱くなります。
腎不全は、腎臓の機能が本来の10%前後しか機能しない状態ですが、もしこのまま放置してしまうと体内に老廃物が戻り、吸収されてしまいます。
すると部分的にむくんだり、高血圧になったりとリスクが高くなります。また末期には尿毒症になり、重とくな場合だと全身けいれんが現れることもあります。
そこで登場するのが人工透析療法です。人工透析は、機能しない腎臓に代わって医療機器を用いた血液濾過によって、健康な体を維持していくための治療法です。
血液透析とは、血液を循環ろ過させて老廃物を体外に排出する方法です。
人工透析療法中は、腕にシャントを設けて静脈血液側回路と動脈血液側回路を接続し、血液ポンプをつかって血液をダイアライザーと呼ばれている血液濾過装置へ向けて送り出します。
ダイアライザーに送られた血液は、透析液供給装置によって血液中の濃度の高くなりがちな成分であるカリウムやマグネシウム、リンなどを薄め、足りない成分である炭酸水素やカルシウムなどを補い、体内に向けて血液を戻します。
この血液透析治療中は、血液が凝固しないよう抗凝固薬注入ポンプが使われます。
腹膜透析とは、体内にある腹膜という機能を利用して血液を濾過します。
血液透析の場合は、体内の腹膜と体外をつなぐためのカテーテルを取り付けます。
このカテーテルから透析液を注入して血液内にある老廃物を薄めます。
また一定期間ごとに新しい透析液を体内に注入し、古い透析液を体外に排出します。
透析液を注入する腹膜は、胃や腸などの内蔵を覆っている薄い膜です。
体表面積(人の体の表面の面積)と同程度の広さがあり、毛細血管が網の目のように張り巡らされています。
この毛細血管を使って余計な水分や塩分などの老廃物質を透析液に移動させて濾過します。
血液透析は、よく知られている人工透析療法です。
まずシャントという血液側回路を取り付ける場所を作成しなければなりません。
基本的には患者自身の血管を使う自己血管内シャントを作成しますが、何らかの理由で自己血管内シャントを作成できない場合は、人口の筒を使った人工血管内シャント(グラフト)を作成します。
この他にも体内の深いところにあるため、見えにくい動脈を可能な限り皮膚表面に近い所に持ち上げる動脈表在化などが一般的です。この方法がとれない場合は、透析カテーテル留置を行います。
血液透析は、透析施設に通院してベッドの上に横になると医療スタッフが全て対処してくれるため、感染症のリスクが低く、仮に問題が生じても医療機関なので対処しやすいです。
その一方で週に3日間は通院しなければならない、透析針をささなければならない、1回の血液透析治療に4時間以上かかるといった側面があります。
腹膜透析の最も特徴的なことは、残された腎臓の機能を使えることです。
透析液の注入と排出は患者自身が行ないます。
個人差がありますが、おおよそ1日4~5回ほどが多くなっており、患者自身が透析液を注入して排出する作業のことをCAPD(持続携行式腹膜透析)といいます。
また就寝中に機械を使って注入と排出を行うものをAPD(自動腹膜透析)と呼ばれています。
腹膜透析は、通院回数が月1回~2回ほどで済む、循環器系への負担が少ない、血液透析よりも食事制限が少ない、近くに透析治療できる病院がない場合にも利用できるという特徴があります。
一方で透析液の注入・排出作業を患者が行ったり、家族に行ってもらわなければならない、管理がうまくいかないと尿毒症の症状が出たり、トンネル感染などのリスクもあります。
東京都内には人工透析療法に対応しているクリニックがたくさんあるため、ライフスタイルで選べます。
便利なのが、夜間透析でしょう。何らかの理由によって残業してしまい、人工透析の時間に遅れる場面があるかもしれません。
夜間透析に対応しているクリニックであれば、そんなときでも安心です。
東京都内では、夜間透析できるクリニックが充実しており、おおよそ22:00~23:30まで利用できるため、ビジネスパーソンを中心に利用されています。
人工透析を受けていると心配なのが合併症です。
シャントトラブルや血圧低下などに対して、適切な治療技術を持っているクリニックであれば、納得して通院できることでしょう。
東京都内には合併症に対応したクリックもたくさんあるため、人工透析療法に慣れていない方や衛生重視の方に利用されています。
東京都内には、透析中でも自由に過ごせるクリニックもあります。
血液透析の場合は1回あたり4時間以上かかりますが、その間はベッドで過ごすことになるため、時間を持て余すかもしれません。
東京都内の人工透析クリニックには、透析治療室にテレビを完備していたり、無料のWi-fiを利用できたり、環境を整えています。
血液濾過中であっても娯楽を楽しんだり、パソコンやスマホなどを使って時間を潰せたりします。
東京都内には、オンラインHDFを完備した人工透析クリニックもあります。
オンラインHDFとは、陰圧をつかって余分な水分や塩分などの老廃物を効率的に除去できます。
また一般的な血液透析では除去が難しい老廃物も除去してくれるため、透析中に感じることの多い気分低下や血圧低下、かゆみやしびれ、足がつると言った症状に加えて、関節痛などを緩和してくれます。
透析治療を受けていて不快感のある患者さんにおすすめのクリニックと言えるでしょう。
少数ですが、東京都内には、オーバーナイト透析に対応した人工透析クリニックもあります。
睡眠中に透析をするため目覚めたときには透析治療が完了しています。しかし東京都内であっても対応しているクリニックは極めて限られています。
その理由として睡眠中の寝返りなどで抜針事故が発生するリスクが指摘できます。
血液透析での抜針は、命に関わりかねないので夜間スタッフの確保や安全管理が難しくなっています。
東京都内には、在宅透析に対応した自宅に透析器を設置して治療できる人工透析クリニックもあります。
この方法では、文字通り患者の自宅に透析器を設置し、自宅で透析療法を行います。
通院回数を減らせるため、仕事や生活との両立がしやすくなっています。
また透析回数や透析時間の調整もできる柔軟性ある透析治療なので、患者自身の健康管理意識が高まり、良好な体調管理に繋げられます。
在宅透析の場合は、患者自身が穿刺や透析器の操作を行うため、研修や訓練を行います。
また万が一のトラブルの際の対処法も学びます。