東京の人工透析クリニック厳選ガイド TOP » 人工透析における管理の重要性 » 食事の管理

公開日: |更新日:

食事の管理

透析を受けている場合、ドライウェイトに十分気をつけなければなりません。ドライウェイトとは、体内に余分な水分が貯留していないときの状態で、透析終了時の体重を指します。痩せすぎや太り過ぎは身体に負担がかかるため、適正体重を維持することが重要です。

身体や心臓への負担を軽減し、よい状態を保つためには透析体重が増えないように、食事に気をつけたり水分や塩分の制限を守ったりする必要があります。

透析食で気を付ける6つのこと

食事療法には基準があります。ここでは、日本腎臓学会が紹介している慢性腎臓病に対する食事療法基準を詳しく紹介していきます。

※出典:日本腎臓学会 編/慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版[PDF]

エネルギー

エネルギーの適正量は、標準体重1kgあたり×30~35kcalで算出されます。

エネルギー不足にならないよう、砂糖や油脂を活用しましょう。揚げ物や炒め物をプラスしたり、サラダにマヨネーズやオイルが入ったドレッシングを取り入れたりするのもおすすめです。

食欲が低下していて食事量を十分摂取できない場合、間食を摂るのもよいでしょう。ういろうやぎゅうひ、水ようかん、ゼリー、キャンデーなどは、エネルギーも取れる上、比較的リンやカリウム、塩分が控えめなのでおすすめです。糖尿病のある場合、菓子や嗜好品、砂糖などの摂取に注意しましょう。

たんぱく質

たんぱく質の適正量は、標準体重1kgあたり×0.9~1.2gで算出されます。

必須アミノ酸がバランスよく含まれている良質なたんぱく質を適量摂取するよう心がけましょう。1食にまとめてたんぱく質を摂取すると、吸収率が下がってしまうため、なるべく3食に分けてとりましょう。

なるべく生鮮食品を選び、リンの多い加工食品は控えめにしてください。主菜に使う肉や魚、豆類、卵などといったタンパク質は、リンの含有量の少ないものを選び、リンが多く含有されているタンパク質ばかりの組み合わせないよう注意が必要です。

食塩

食塩は、1日6g未満に抑えましょう。

加工食品には、塩分が豊富に含まれています。ハムやウィンナーなどの肉加工品、ちくわ、かまぼこなどの練り物、干物や漬物は控えるようにしてください。

汁物は具だくさんのものを1日1杯までにして、麺類のスープは残すようにしましょう。調味料は計量スプーンで計測するよう習慣づけるのも大切です。調味料は、かけずに「つける」ようにするのが望ましいです。

醤油やソースなどの調味料は皿にとってつけながら食べると少量で抑えられます。酸味や天然のだし汁、香辛料などを活用したり、素材本来の旨味を活かしたりするのがおすすめです。

水分

水分の摂りすぎには注意が必要です。ドライウエイト(kg)×15mL以下にしましょう。

水分の多い料理や食品を摂り過ぎないよう注意しましょう。(煮物や汁物、鍋物、麺類、粥、フルーツ)

1日に飲む水分量を計算し、不規則に飲まないよう注意が必要です。自分用のコップを決めて、その容量で1日何杯までと管理する必要があります。薬を飲むための水分もカウントし忘れないよう注意が必要です。

熱めのお茶をゆっくり摂取すると、満足感を得られるでしょう。塩分をとり過ぎると喉が渇いて水分が欲しくなるため注意が必要です。

カリウム

カリウムは、2,000mg以下に抑えるようにしましょう。

カリウムが多く含まれる食品をとり過ぎないようにしましょう。カリウムは水に溶ける性質があります。野菜や芋類は、小さく切り、たくさんのお湯で茹で、茹で汁を破棄してから調理しましょう。生食の野菜は、千切りやみじん切りなどにして、流水で20~30分ほどさらしてから調理しましょう。

リン

リンは、たんぱく質(g)×15mg以下にすることが望ましいです。

リンはさまざまな食品に含有されていますが、大きく2つに分類されます。無機リンの多い加工食品をとり過ぎないようにしましょう。

有機リン

食品そのものに含まれていて体内に吸収されにくいです。代表的な食品には、肉・魚、乳製品・卵、豆製品・芋・穀物などが挙げられます。

無機リン

加工食品に添加物として加えられたもので体に吸収されやすいため注意が必要です。ハムやソーセージなどの肉加工品、練り物、インスタント食品などが該当します。

※無機リンは血清リン濃度を上げる性質があるため、なるべく控えを心がけましょう。

リンは水に溶け出る性質があります。ウィンナーや練り物は、切り込みを入れたり薄くカットしたりしてから、たっぷりのお湯で茹でて、茹で汁を捨ててから料理するのがおすすめです。