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人工透析を開始すると、これまでとは違った食事療法が必要です。タンパク質や水分など、透析中の方に合った食事療法となります。そこでここでは人工透析患者が食事面で気を付けなくてはいけないことをまとめました。
人工透析を開始する前は、エネルギーやタンパク質の摂取に厳しい制限があった方も、人工透析開始後は適度な摂取が必要になります。
特にタンパク質は、透析によって必要な分も排出されてしまうため、ある程度の摂取が必要です。食事にはタンパク質を多く含んだ肉や魚、卵などを摂り入れましょう。
水分や塩分の制限は、いっそう厳しくなります。透析療法を開始しても腎機能は低下していくため、尿の量が減ってくるからです。
医師と相談して、体内に摂り入れる水分と排出できる水分を計算しながら、1日の水分量を決める必要があります。そのため、基準となる体重「ドライウェイト」が決められ、その体重を目安に摂取量を調整していくのが基本です。
また、塩分の摂り過ぎにも制限があります。腎機能の低下でうまく排出できないため、高血圧やむくみの原因になるからです。
カリウムを摂り過ぎると、不整脈や心不全につながる恐れがあります。健康な方でしたら尿と一緒に排出されるのですが、透析を受けている方の場合はうまく排出されないため高カリウム血症になりやすいのです。
カリウムは野菜や果物に多く含まれますので、できるだけカリウムを除去できるよう調理法を工夫しましょう。例えば、野菜なら生より茹でたほうがカリウムの量が減少します。また、果物は缶詰のほうがカリウムの摂取量が少なくなります。
リンの摂取にも注意が必要です。高リン血症により、血管や関節が石灰化しやすくなります。心筋梗塞や脳梗塞、関節炎の原因となりますので、透析中の方はリンの摂取を控えましょう。
リンはインスタント食品や加工食品、乳製品に多く含まれています。塩分や砂糖と違い味がないため、気付かないうちに過剰摂取となることもあります。できるだけリンの量を計算して、どれくらいリンを摂取しているのか把握することが大切です。