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維持血液透析患者の睡眠の特徴という論文によると、2015年12月~2017年8月に維持透析を受けている患者約400名の中から、26歳以上65歳未満の患者を対象とした調査が行われました。調査の結果、以下のことが明らかになったとされています。
透析患者は、不眠や寝つきの悪さといった睡眠障害が見られやすいですが、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害が原因となっているケースもあります。
※出典:維持血液透析患者の睡眠の特徴 ―自記式ピッツバーグ睡眠質問票による主観的睡眠評価とアクチグラフによる客観的睡眠評価による検討―[PDF]
透析患者の不眠の原因として考えられているものには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、不眠の原因についてご紹介します。
透析間の体重増加が多い場合、ドライウェイトまでしっかりと除水できない状態が続いてしまうと余分な水分が体内にたまります。体重の5%ほどの余分な水分が増加した場合、症状が見られないことが多いです。
しかし、余分な水分の貯留が10%ほどになると、むくみや夜間の呼吸苦、咳などの症状が見られるようになります。
※参照元:東京新橋透析クリニック ―透析治療で重要な「除水」のハナシ-
透析を受けている方で、睡眠時呼吸障害のうちの1つである睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併している割合は、40〜60%ほどとされています。全体では、睡眠時無呼吸症候群は成人男性の3~7%、女性の2~5%ほどに見られることから、睡眠時無呼吸症候群を併発する透析患者は一般の人に比較してかなり多いことがわかります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合、睡眠中の大きないびきや集中力低下、不眠などといった症状が見られやすいです。
※参照元:東京新橋透析クリニック ―睡眠時呼吸障害にも要注意?透析患者さんの睡眠について-
透析患者は、線維筋痛症による症状で悩んでいる方が多いです。線維筋痛症は、全身の疼痛や疲労感を主体をしたさまざまな症状をきたします。慢性的な四肢の疼痛があるほか、疲労感や睡眠障害をきたします。
先述の線維筋痛症では、全身の痛みと疲労感を主体としたさまざまな症状をきたします。上記のほかには、目の奥や口腔内の痛み、顔の痛み、頻尿、便秘、生理不順などが見られる方が多いほか、焦りや不安、憂鬱、悪夢などさまざまな症状が伴います。
透析患者に特に見られやすい不眠の原因として、かゆみがあります。かゆみは、夜間になると強まるケースが多く、透析患者の約7割にかゆみの症状が見られると言われているのです。
とりわけ、乾燥している冬の時期は、肌も乾燥しやすく、かゆみが増す傾向にあります。また、熱いお湯に入る・入浴時に肌を強くこすると、刺激となりかゆみが出やすくなります。掻いてしまうことによって、さらにかゆみが増して、不眠に陥るケースも少なくありません。